時効援用通知の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記入例
時効援用通知の書き方と用途
時効には消滅時効と取得時効がありますが、いずれについても法律で定める時効期間が経過したことにより時効が完成したとしても、期間が経過しただけでは当然に時効の効力が発生するとはされておらず、時効を援用しなければ時効の効力は完成しません(民法145条)。そこで、時効援用通知を作成して、相手方に送付することで、時効の効力を完成させる必要があります。
時効援用通知の書き出し・結びの言葉
時効援用通知の書き出しの言葉冠省益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。さて、このたび、貴社の当社に対する〇〇の取引に関する売掛金〇〇円のことで本通知書をご送付いたしました。結びの言葉したがって、以上の理由により時効を援用いたしますので、当社としては、記者に対する売掛金〇〇円の支払義務を負っていないものと考えておりますので、よろしくお取り計らいいただきますようお願いいたします。草々
時効援用通知の書き方の例文・文例01
貴社は、当社に対し、平成〇年〇月〇日付売買契約書に基づく〇〇の売買(平成〇年〇月〇日分~平成〇年〇月〇日分)について売掛金債権〇〇円を有しておられますが、すでに平成〇年〇月〇日をもって時効期間である2年を経過しておりますので、消滅時効が完成しております(民法173条1号)。したがって、本書面をもちまして、上記消滅時効を援用いたしますので、よろしくお願いいたします。
時効援用通知の書き方の例文・文例01のポイント・まとめ
消滅時効の時効援用通知に関する書式の基本例文です。民法173条1号は、生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物または商品の代価に係る債権の消滅時効期間を2年と定めているため、生産者が有する売掛金の消滅時効期間は2年となる。そこで、上記条文の適用がわかるように、必要となる売買契約の内容・取引日・時効の起算点・条文を示したものである。
時効援用通知の書き方の例文・文例02
当方は、貴殿が登記名義を有する別紙物件目録記載の土地建物について、平成〇年〇月〇日に〇〇より購入した上、同日より居住することにより占有しておりますところ、平成〇年〇月〇日の経過により短期取得時効の時効期間である10年(民法162条2項)が経過しておりますので、取得時効が完成しております。そこで、上記取得時効を援用いたしますので、登記名義の変更にご協力いただきますようお願いいたします。
時効援用通知の書き方の例文・文例02のポイント・まとめ
不動産を長期間占有していた場合には、民法162条1項により、20年間占有していた場合には不動産を時効取得できるとされているが、これには特則があり、善意で占有していた場合には、民法162条2項により、短期取得時効として10年間で不動産を時効取得できる制度となっている。そこで、時効取得を主張するものにとって有利な民法162条2項が適用できることを前提として作成した。
時効援用通知の書き方の例文・文例03
[株式会社の場合の雛形]当方は、貴社より、平成〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約書に基づいて、合計〇〇円(元本〇〇円、利息〇〇円)を借入れておりますが、同借入金については、既に平成〇年〇月〇日の経過をもって、商法522条により必要とされる5年間の時効期間を経過しております。したがって、消滅時効が完成しておりますので、これを援用いたします。
時効援用通知の書き方の例文・文例03のポイント・まとめ
債権の消滅時効については、民法の一般原則によれば10年とされている(民法167条1項)が、株式会社が金銭を貸したような場合には、商法522条によって、時効期間が5年に短縮されている。そこで、時効取得を主張する者にとって有利な商法522条を適用できることを前提として作成した。なお、貸主が信用組合や生活協同組合の場合には、これを適用できないとするのが判例であるので注意されたい。
時効援用通知の書き方の例文・文例04
[文例03を前提とした文例]貴社は、当方に通知を送ったことをもって時効の中断を主張されているようですが、当方はそのような通知を受け取っておりませんし、また、仮に貴社が主張する時期に当方が上記通知を受け取っているとしても、通知は時効完成後に送付されていることから、民法147条各号所定の時効の中断事由には該当しないものと考えております。
時効援用通知の書き方の例文・文例04のポイント・まとめ
民法147条は時効の中断事由を定めており、これに該当する場合には、時効が援用できないものとされている。そこで、相手方が時効の中断事由を主張している場合には、この点に配慮して時効援用通知を送ることが必要であり、147条の各号該当事由(1号:請求、2号:差押え、仮差押え又は仮処分)、3号:承認)に当たらないことを具体的事実と共に明示した。
時効援用通知の書き方の例文・文例05
貴殿は、当方に対し、平成〇年〇月〇日に〇〇市〇〇町〇町目〇番〇号先路上において生じた交通事故について、損害賠償を請求されておりますが、平成〇年〇月〇日の経過をもって不法行為による損害賠償請求権の時効期間である3年を経過しておりますので、時効が完成しております(民法724条前段)。そこで、当方は、本書面をもって時効を援用いたします。
時効援用通知の書き方の例文・文例05のポイント・まとめ
民法724条前段は、不法行為による損害賠償の請求権について、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しないときは、時効によって消滅する旨を定めており、その趣旨を明確とするために、民法724条前段を摘示した。なお、被害者が、損害の発生や加害者について知らなかった場合には、20年の除斥期間にかかる(民法724条後段)。
時効援用通知の書き方で使った言葉の意味・使い方
時効の「援用」とは、時効を「主張する」という意味です。時効は中断した場合に中断から再度期間の進行が始まりますが、除斥期間にはこのような中断事由は存在しません。法律上、期間が定まっている場合には、時効の場合と除斥期間の2つがあります(民法724条の例にあるように、同じ条文で2つの期間が出てくる場合には、通常短い方が時効で、長い方が除斥期間です。)ので、注意して言葉を使い分けましょう。
時効援用通知の書き方と注意点
時効援用通知を書く際は、時効期間が何年か(1年か、2年か、3年か、5年か、10年か、20年かなど)を法律規定と共に確認する必要があります。また、時効中断事由が無いかどうかにも気を配る必要があります。更に、時効援用通知を相手方が受領したことが必要となりますので、通常の手紙とは異なり、内容証明郵便等を使用して、相手方に時効援用通知が届いたことがわかるような形で送付しましょう。
時効援用通知の書き方のポイント・まとめ
時効の対象となる取引や事象を、事実と共に明示することが重要です。とりわけ、企業間で複数の取引を継続的に行っている場合には、どの取引について時効を援用するのかが不明確となりますので、注意が必要です。今後も相手と取引をしていく様な場合には、消滅時効を援用するという形で義務を負わないという形をとることで、相手方の機嫌を損ねないかについても検討してから出すことをお勧めします。
-
旅行先へのお礼状の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと...
旅行に出かけると旅先で思わぬ感動に出会えることがあります。自分が思っても見なかったタイミングで旅先で出会った人から親切に...
-
慰労会でののし袋の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと...
慰労会でののし袋を綺麗に書くことによってマナーのある人だという印象を与えることができます。引っ越しや異動、転勤などの節目...
-
お中元のお礼状の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記...
お中元の送り状の雛形では、最初に暑中お見舞い申し上げます、で書き始める書式が一般的です。用途としては、いただいたお中元に...
-
事務員評価表の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記入...
事務員評価表は、役所にしろ民間にしろ作成をしなければならないものです。特に役所の場合はそのほとんどが事務系の職員ですから...
-
よくわかる介護記録の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味など...
介護保険制度では、事業所側は必ず介護サービスの提供の記録をすることが大事です。書くべき項目は決められているので、最低限の...
-
議事録の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記入例
様々な会議において必ず必要なのは「議事録」です。議事録とは会議の内容を漏れのないようにまとめたもので、次回会議のための資...
-
冬の手紙の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記入例
冬の期間は諸説いろいろありますが、一般的に使われている気象学では12月・1月・2月の期間の事を言います。この時期の手紙と...
-
雑損失等の内訳書の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと...
雑損失とは、本来の営業による損失以外のものを指すものです。そのため、いろいろな種類が存在するもので、一覧表の形式により雑...
-
許認可手続きと申請書類の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味...
行政に対して、その許可を得るための申請を許認可申請と呼び、その一連の手続きを許認可手続きと呼んでいます。この許認可手続き...
-
10月の手紙の書き方や例文・文例・書式や言葉の意味などと記入...
10月は季節的にも過ごしやすくなってきて、活動も活発になってくる、楽しい時期でもあります。実りの時期を迎えるにあたり、季...
時効には消滅時効と取得時効がありますが、いずれについても法律で定める時効期間が経過したことにより時効が完成したとしても、期間が経過しただけでは当然に時効の効力が発生するとはされておらず、時効を援用しなければ時効の効力は…